子育て医師の環境 -世の男性医師に、男性医師がモノ申す-
子育てをする
誰しもが1人目は初めての事である。
知らない事も多く、色々な手続きもしなければならない。先行きが見えない環境にポンと置かれた。そんな感じである。
共働きだと、子供を預かってくれる環境が必須である。
両親が近くに住んでいる環境で、その協力が得られるのであれば申し分ない。
が、我が家は夫婦ともに両親が近くにおらず、協力を得られる環境にない。
よって必然的に保育園を利用しなければならない。
3ヶ月から預かってくれる保育園を探し、預ける事にした。
しかし、生まれてすぐは母乳をあげなければならないし、保育園に預けている間、妻は仕事の合間に母乳を絞っては、冷蔵庫で保管して持って帰ってきていた。
私の妻は強者である。
学会にも積極的に向かうし、乳児を抱っこ紐でだっこして、ストールで隠して授乳しながら講演を聞くのである。
周りの女医には、同じ事ができる人は一人としていなかった。
だから尊敬している。
最近twitterを始めて見たが、
子育てをするパパは多くない。
まぁ夫婦の両方の意見を聞かなければ始まらないが、子育てしながら働く女医さんのツイートが圧倒的に多い。
育休を男性医師が取る時代はまだまだ来ない。
ただ、共働きの女医さんと話していて、いつも思うのだが、私ほど子育てに参加している夫は珍しいらしい。
私の子育て・家事は以下の通り(変動あり)
- 食器洗い
- 洗濯物を畳む(畳める時には)
- 家の中の掃除(テーブル周りとか)
- ゴミ捨て
- 子供のお風呂あがりの世話
- 保育園の哺乳瓶を洗う
加えて
- 学会発表
- 論文作成
- 勤務先病院での勤務・手術・当直
- 妻の開業クリニックの人事・経営
である。
後者の本来の仕事(本来?)を家で行おうとすると、その時間は極端なまでに限られる。
しかし、なんとかするしかないのである。
その努力が自分のスペックを上げると信じているからである。
よって、ここで言うセリフが男性から非難されるかもしれないが言わせてもらう。
もっと家のことしろ。奥さんの仕事と決めつけるな。
私も十分しているとは思っていない。
鬼嫁から文句を言われることも良くある。
が、その鬼嫁も私以上に家のことをする夫の話は聞かないと言う。
学会発表や論文なんか書かなくても死にはしない。
しなくてもいいなら、しなくて良いと思う。
なら、家のことをやれるはず。
開業クリニックの経営。
これもしなくていい事がほとんどのはず。
なら、家のことをやれるはず。
世の男性医師は言い訳しないで、家のことをやるべきだ
一流に学ぶと言う事
自慢話ではないが、私は学ぶ環境には恵まれてきた。
この話をするには、私の経歴について述べなければならない。
私は外科で呼吸器を専攻してから耳鼻咽喉科に転科した。
この経緯については後述する事もあるかもしれないが、今は置いておく。
初期研修医の頃、漠然と救急か外科に進む事を考えていた。研修医の間に取れる資格は取っておこうと思い、
JPTEC
JATEC
TNTコース
を初期研修中に取得した。
初期研修中にお世話になった外科の先生は非常に面倒見のいい先生であった。
初期研修医の私に論文の指導をしてくださり、手術も沢山させてくださった。
怒る事を滅多にしない方だった。
その先生が呼吸器外科出身の一般外科医であった。
いわゆる一般外科でも呼吸器の手術をできる一般外科医は少なく、私はその先生に憧れて呼吸器外科に進むことにした。
当時は肺移植が日本に入ってきたばっかりであり、その格好良さに憧れて呼吸器外科を選んだのだ。
当時関東で肺移植を行おうと進んでいた大学病院は2つのみ。T大とK大である。
呼吸器外科に進んだ私は、今の日本で知らない呼吸器外科医はいない有名医師の元で学ぶ機会を得た。
学んだ事は色々あるが、良く言うのであれば、
・臨床研究の大切さ
・統計が何たるか
・プレゼンテーションが何たるか
・病理所見の大切さ
・素養教育の重要性
・一流とは何たるか
である。
しかし、この先生の元に私は長居しなかった。
耳鼻咽喉科に転科したからである。
現在、これまた日本で知らない人はいないとされる著名な先生の元で勉強する機会を得ている。
今のところ、学んだ事は多くあるが、前述の先生との共通点は多くある。
・臨床研究の大切さ
・プレゼンテーションが何たるか
・病理所見の大切さ
・素養教育の重要性
である。
業績を残すのは大変でもあり、簡単でもあると言える。
良く言うビッグデータによる検証研究。
まぁビッグデータの定義にもよるが、とにかくnの大きな研究である。
研究テーマが決まれば、あとはSPSSなどの統計ソフトが事をなしてくれる。
それを論文にすれば出来上がり。まぁ、これも大変なんだけど。
症例報告や臨床研究を行う上で、どこに視点を置くか、何をテーマにするかと言うところにいわゆるセンスが関係してくるのだ。
私も、今学ばせて頂いているK先生の若かりし頃も共通して言われていることがある。
「なんでそんなに発表するテーマや症例が集まるの?」
答えは簡単である。勝手に集まっているのではなくて、一例一例を調べ上げるから、分からない点を疑問に思うし、調べようと思うのだ。
そんな稀な症例は転がってこない。
のではなく、
手元にいる症例が見えていない。
のである。
いわゆる一流と言われる人に学ぶチャンスがあるのなら、有無を言わず飛び込むに限る。
人生の中で、こう言うチャンスは多く転がってくるわけではない。
こう言った人に学ぶ事が、更なる一流の方々と触れ合う機会を生み出すことにもなると言う事を忘れてはならない。
「教科書に書いてある事が…」、「そんなことも調べても…」
そんなつまらない事を言う輩は放っておくのが良い。凡庸に付き合うな。はみ出して、その場所で馴染めるように努力すべきである。
共働きの子育て
それぞれの家庭環境
我が家の家庭構成は現在以下の通りである。
- 私(勤務医)
- 妻(開業医)
- 長男(6歳)
- 次男(2歳)
- 長女(10ヶ月)
私も妻も医師として働いているので、これがなかなかに忙しい。
妻は耳鼻科として開業したばかりである。
経営は軌道になりつつあるが、まだ1年経過していないので、不安もある。
私はというと、勤務医をしながら、妻のクリニックの経営・人事を手伝っている。加えて、国内・国際学会での発表や論文作成もあるので、世間一般では多忙な人に入ると思う。
賛否両論あると思うが、妻の開業には当初条件を出した。
子育てを私に任せない
私は学術的な活動が楽しい。自分の興味のある事を突き詰めて行く。探求する事が面白い。
開業すると言うと、たくさんお金がかかる。
まさに、そうである。具体的な金額は言えないが、それなりのリスクを私も背負うし、妻の開業する時の理由の1つとしては、
子供の世話をちゃんと作れる。
と言う事だった。
私としては甚だ「ほんとうに?」と思ってはいた。
が、妻は昔から開業思考のあった人間であるし、彼女のやりたい気持ち、挑戦したい気持ちは最大限生かしてあげたいというのが、夫として当然の心持ちであった。
開業に関しては、また書こうと思う。
妻の勤務地は、車で30分程の場所である。
また、
クリニックを開けておく事 = 収入
なのである。
まだ開業して間もない事もあるし、
収入を維持する事 = スタッフの生活を守る
事である。
なので、どうなるかと言うと、子供の事での皺寄せが私に大きくのしかかってくる。
勿論、勤務医である私は朝が早い事が多いし、手術もする。
子供が熱を出す
これは、働きながら子育てをする親にとって、聞きたくないランキング上位に安定して見る言葉であろう。
迎えに行くのは、私になる事が必然の環境となってしまった。
日本という国は、子育て環境がまだまだ整っていない。
「子供が熱を出したので、迎えに行って宜しいでしょうか?」
これを上司に言うには勇気がいる。
今の私の上司はお子さんがいないが、多くの子育て女医さんを部下に持ってきた方なので、相談がしやすい面では、本当に恵まれている。
この環境の素晴らしさはまた後述する。
しかしである。それでも、私にはストレスになるのである。
妻の開業が安定するのと、子供達が大きくなって手がかからなくなるのが待ち遠しくもあるが、それはそれで寂しかったりもする。
インフルエンザの猛威は収束へ!?インフルエンザA、ゾフルーザ、タミフルなど
インフルエンザ患者の推移
先週の火曜日は外来患者の半分がインフルエンザAという世界を制服せんばかりの勢いだったが、今週火曜日の外来患者はインフル疑いで「検査しときましょう!」が空振り続き。
【盛者必衰】(『平家物語』でおなじみの言葉である。 この世は無常であり、勢いの盛んな者もついには衰え滅びるということ。)というやつですね。
集計結果でも先週まで爆発的に増えているのが確認できます。
見掛け倒しの救世主?
インフルエンザ治療薬としてその名を急速に広げ始めた新薬のゾフルーザ。
この利点は「一度内服すればそれで終わり!」という便利さである。
しかしである。
www.iza.ne.jp 耐性ウィルスの出現である。報告によっては使用患者の23%に耐性ウィルスが出現したとのこと。私のバイト先の院長も当初は「ゾフルーザが良いから、出してね!」と言っていた。が、今週には「ゾフルーザ危ないからね。出さないようにしてね!」と。
うーん素晴らしい手のひら返しである。
社会人として世の中の流れに逆らわないようにする身の振り方は、処世術として非常に大事ではあるが、時に人望を失う事になる良いお手本である。
タミフルが心強い
これはあくまでも一人の医師としての意見であるが、やはりタミフルが心強い。2016年より1歳未満の乳幼児への投与が可能となり、外来でも現在大活躍である。
medical.nikkeibp.co.jp 我が家も5人家族であるが、子供3人のうち、一番下の子が先日インフルエンザAを保育園でもらってきた。(滝汗)
もう大急ぎでタミフルを家族全員分予防投与で準備し、「忘れずに飲めぇぇ!!」という嫁の指示のおかげで、娘以外がインフルエンザに罹らなくて済むという奇跡体験をした。
ワクチン接種は?
するに越したことはないでしょう。た・だ・し!この案件、今はあまり突っ込んで書きません。なんで?という方は「ワクチン 拒否」などで検索すると見えてくるものがあると思います。
検査はどこでやっても同じ?
これが実は違います。一般的なものより高感度で検出できる機械があります。しかも患者さんの負担は一緒です。
富士ドライケム IMMUNO AG1(イムノ AG1) | 富士フイルム
受診するクリニックに聞いてみると良いかもしれません。
一般的な話をすると、インフルエンザに罹患して発熱しますよね?実は発熱後24時間以内は検査をしても陰性になってしまう事が多いとされています。もちろん24時間以内でも陽性にでることはありますが…。なので、陰性の結果であっても「24時間経ったらまた来てね〜」と言われていまうことも(;´Д`A ```
何はともあれ皆さん感染防御をしっかりしてください ガンバレ(┌゚д゚)┌ ヨッ